磁場について
磁場は、電流がながれているものの周りに必ず存在し、電流が大きくなるほど、磁界も大きくなるという性質を持ちます。波打ちながら、まるでドリルで穴を掘るように進み、人間の身体も貫通します。コンクリートでもなんでも通り抜けてしまうため、一般的な構造物や素材では遮蔽が難しく、対策をとるには距離をおく事が最善の方法と言われています。
磁界を遮蔽する物質としては、パーマロイやミューメタルといった、特殊で高価な磁性素材に限定されます。そのため、運悪く磁場の強い地域に越してきて、磁場が原因で不調となった場合には、現実的にこれらの物質で室内壁を全て覆うのは困難なため、残念ながら、引っ越しをするしか最善の道は無いと言ってもいいでしょう。
このような性質を持った磁場が、遺伝子まで引きちぎってしまうとも考えられており、遺伝子損傷や内臓疾患、発癌の可能性が高いと言われている所以ともなっています。
磁場の安全数値の目安としては、2mG(ミリガウス)以下が望ましいと言えます。その根拠としては、1993年に、スウェーデンのアールボム博士が、北欧3国の集計で、2mG以上で小児白血病が2.1倍、小児脳腫瘍では1.5倍の増加傾向にある事を発表しており、(EMFAでは2.5mG以下を推奨)2000年にはIARC(国際ガン研究所)が人に対する発癌の可能性があると評価しているからです。
下記に、それぞれの疾患との因果関係が考えられる磁場の数値をまとめています。
・小児白血病では、2.5mG以上で通常の1.5倍、4mG以上で6倍
・中枢神経腫瘍では、4mG以上で6倍
・悪性リンパ腫では、1〜4mG以上で5倍
これらの状況を鑑みて、スウェーデンでは、電磁波の発がん性について、「慎重回避」の考えを政策に導入しています。因果関係がはっきりとしない段階であったとしても、はっきりとわかってからでは取り返しのつかないことになる恐れがあると判断した結果です。テレビやパソコン等がブラウン管の時代から、(ブラウン管では磁場が強く発生し、液晶になってからはその数値が格段と下がっています)画面から30cmの位置で2mG以下に規制し、93年からは2−3mGを基準に小学校や幼稚園の移転、鉄塔撤去等の対策を始めています。
スイスでは、送電線を建設する場合、周りの住宅地では10mGをこえないこと、アメリカフロリダ州では「伝染や鉄塔の周囲に児童を近づけてはいけないとして、カリフォルニア州アーバイン市では、4mG以上の地域には住宅や子供の施設を作ってはいけない、としています。地域によってその規制のあり方に差はありますが、送電線直下に建物が建てられているのは、先進国では日本だけと言えるでしょう。
さて、「磁場の強いところ」とは、一般的にどういうところでしょうか。
ここで、マンション4階住居者の道路側の部屋のご家族の例をあげます。居住早々、テレビの映りが悪くなる、電気製品が壊れる、家族全員が不調になる等、様々な異変が起こったと言います。測定士が調べたところ、道路に面した子供部屋、リビング、寝室の窓からは、上部に配電線が見え、リビングのすぐ近くに柱上変圧器の頭が見えるのです。測定士が調べたところ、部屋や時間によって数値の変化があるものの、一番数値の高いリビングでは12〜18mGあったと言います。一時的に実家に退避すると症状が無くなったため、電磁波による健康障害と見て、遮蔽の難しい磁場が原因であったことから、引っ越しを決断したという例があります。
もう一つの例として、新築マンションを購入したご家族のケースを上げます。引っ越し早々、飼い犬の毛が抜け落ちる、赤ちゃんに湿疹が出る、購入者自身の視力が2.0から0.2にまで落ちる等、家族全員が原因不明で何らかの体調不良を経験し、測定士が電磁波の数値を測ったところ、日中は何事も無く問題が無かったのが、夜になると一気に数値が上がり、500mG以上もの磁場を示したということです。
原因は、その部屋が、マンション全体に電気を供給する太い電線の束の通り道になっていたからでした。これは、あきらかに建築時の欠陥によるものだったため、購入先の不動産に買い戻しをしてもらい、引越しをして解決したという例があります。
配線上の欠陥では、電気工事業者でもわからないような屋内配線ミス等、建築上のミスによるケースの場合、予測もつかない形でその影響が出てくることがあります。鉄筋コンクリートのビルによく見られるケースとして、通常2本が束ねてある電源コードを、1本づつバラバラにわけて配線するのが原因で、電磁波が100倍にもなってしまう場合があります。通常、電源コードは2本に束ねることで、お互いの電磁波を打ち消しあい低減しますが、バラバラに分けた配線では、電磁波の逃げ場が無くなります。電磁波を打ち消し合う配線を怠ると、思いがけない数値となってしまうのですが、最近、電気工事業者がこのことを理解していないケースも増えているようです。
このようにして、身近なところでは、運悪く磁場の強い場所に越してしまうと、遮蔽も出来ずどうにも逃げられないという状況になるため、注意が必要です。
次に、街中で磁場が強い場所についてを挙げていきます。
よく、高圧送電線の近くは磁場が強いと言いますが、地上から電線までの距離は数十メートルと、ある程度距離も取られています。
ところが住宅地や街中の道路沿いにある高圧配電線では、高さ10mのところに6600vもの高圧電流が流れており、これが、電柱の上部にある変圧器によって、200/100Vに変圧され、引き込み線によって各家庭に配電するのですが、この変圧器や引き込み線等からの磁場が強く、3階〜5階に位置する住宅やビルの部屋等では、高い磁場の数値を示す可能性が高くなります。
他、磁場数値の高い傾向にある場所は以下の通りです。
・歩道橋の付近に高圧配電線があるところでは、歩道橋の上が10−15mG
・電車の線路の上の歩道橋で4−8mG
・電車の線路沿いの道で2−6mG
・電車の踏み切りを渡る際に4−10mG
等。通勤や通学のみなら問題は少ないかもしれませんが、線路沿いの住宅に暮らしている方は注意が必要です。
また、携帯基地局があるマンションやオフィスビル等の高層階では、アンテナから高周波を発射するために、電源装置、制御装置、増幅装置、電源ケーブル等が必要で、それらの装置から超低周波電磁波が発生します。電界はアースをすることでカットが出来ますが、磁界はかなり強く、屋上に近い部屋を使っている人は、撤去をしてもらうか、引っ越すかしか、対策の手立てはありません。
身近な家電製品や電子機器等も、実は強い磁場を発生しています。大抵距離を置けばそれほど問題にはなりませんが、距離を置きづらいケースや、思ったよりも磁場が高く、必要な距離をとるのが難しいケースもあります。
貸店舗の奥にある居間で生活をしていた若い女性では、体調不良のため測定士に相談をしたところ、居間の壁側に設置されていた、店舗の業務用冷蔵庫から10mG以上もの磁場数値が示されたため、居間の家具の配置換えをおこなっった事で、体調が戻って来たというケースがあります。
家庭用の冷蔵庫でも、高い磁場を発生さているため、冷蔵庫が設置されている壁側に、寝室のベッドやリビングのソファ等を配置するのは適切ではないと言えます。
以下に、意外と強い磁場を発生させている身近なものをまとめました。
・電磁調理器188mG
・掃除機181mG
・ドライヤー161mG
・ふとん乾燥機、電気鉛筆削り、ハンドミキサー、電気ミシン、エアコン83mG
・携帯62mG(携帯による)
・小さな熱帯魚の水槽ポンプ30−40mG
・空気清浄機22mG
・電子レンジ14mG
・ノートパソコン(Apple製品の場合) タッチパネルで10−15mG、キーボード部分で3−7mG
・ハイブリッド車走行中4−13mG
・トースター10mG
・パソコンディスプレイや周辺機器等8mG
・美顔器、電気シェーバー、電動歯ブラシ、ビデオカメラ、蛍光灯スタンド、電気時計、洗濯機等8mG
・電気ストーブ、アイロン、炊飯器7mG
・冷蔵庫6mG
・バス走行中中央部分3−4mG
以上、磁場については、その対策が、距離をおく、ということしか対策のしようがないということもあり、住む場所では周りの環境をよく調べ、建築物に欠陥がないかどうかを確認するしかありません。日常生活の中における電化製品や電子機器については、ある程度距離を置いて使用することで、ストレスのない生活を送ることができます。